ディファインを潜入レポート
どんな合併症が考えられるのか、それはどのくらいの割合で起こるのか、万一合併症が起きたときにはどのような対処法があるのか、といった患者が当然知るべきリスクについて、医師にはきちんと説明する義務があります。
手術に自信を持っている医師であれば、そうしたリスクについても自信を持って答えられるはずですが、それが答えられないということは、自分の行う手術に不安があるか、失敗やアクシデントを想定するだけでもプライドを傷つけられたと考える″勘違いドクター″の可能性があります。
こうしたリスクについて質問すると、「学会報告では△パーセントの割合で合併症があると報告されています」といった答え方をする医師もいますが、これも少″逃げの姿勢が感じられます。
患者にとって知りたいのは自分の手術をするその医師の成績であって、学会報告は参考に過ぎません。
中には「アメリカの報告によると…」などと、自分とは無関係のデータを駆使して暖昧さに拍車をかける人もいますが、こうなってくると自信の無さを露呈しているだけに見えて滑稽にさえ思えてきます。
そもそもそうした学会や国際データよりも優れた成績を持っている医師であれば、堂″と自分のデータを披露できるはず。
何を質問しても一般論に終始するような医師は警戒すべきです。
特に年配の方に多いようですが、こうした「薬だけ」の付き合いは、医療機関側にとってのメリットは大きいものの、実態は手抜きであることが多いのです。
最近は長期処方が可能になって、四週間分でも一度に処方することが許されています。
なのに、とりあえず二週間分だけ薬を出しておいて、「二週間経ったらまた来てください。
混んでいるところを待たせては申し訳ないので、薬だけ取りに来てもらえれば結構ですよ」と言う医師がいます。
しかし、よく考えればわかることですが、薬だけもらいに来て済むのであれば、もっと長期間の処方をするべきだし、二週間後に来なければならないのであれば、診察もすべきでしょう。
実はこうした処方の仕方の背景には、医療機関側の経営上の作戦があります。
患者が医療機関を訪れるたびに、その医療機関は再診料を請求できるので、受診のインターバルは短いほうが儲けも多くなります。
「混んでいるのに悪いから……」などと親切めかして言われると、つい「やさしい先生だ」なんてホロリときてしまいがちですが、意外に相手はしたたかです。
気を引き締めてかかりましょう!「いきなり検査」は順序が逆最近は初診時に待合室にいるうちにアンケート用紙のような書類に症状や受診理由の記入を求める医療機関が増えています。
こうすることで医師は短い診療時間内に無駄な質問を省き、時間を有効利用しようという工夫ですが、中にはこれに依存しすぎる医師がいます。
患者が入れ替わるほんの短い間にこの用紙に目を通し、患者が診察室に入ってくると間髪入れずに「とりあえず検査ね!」と言って、看護師に検査の説明をさせて自分は次の患者のアンケート用紙に目を向ける。
そんな対応をされた人は少なくないはずです。
日本を代表する脳神経外科医でありながら病に倒れ、四八歳という若さでこの世を去ったN・H関東病院の元脳神経外科部長・故N・K医師が生前、こんな話をしてくれました。
「脳外科の診察ではMRIやCTなどの画像検査は付きものだし、そこから得られる情報は確かに重要ですが、それでも画像診断はあくまで問診で得られた情報の裏付けであって、画像だけに頼るのは非常に危険なこと。
『手がしびれる』という症状があれば、脳の障害以外にも脊椎の問題や糖尿病による神経障害など、原因はさまざまに考えられます。
そうしたことを患者との会話の中から推測し、ある程度の方向性を定めてから画像検査に進むのが本筋であって、いきなり検査から入るというのは、おかしな話なんです。
もちろん、多少の苦痛は我慢しなければ治療はできませんが、それでも必要以上の苦痛を強いられることもありません。
場合によっては医師の技術力が低いだけの理由による苦痛もあります。
たとえば、副鼻腔炎(蓄膿症)や花粉症の治療では、鼻の穴に器具やファイバースコープを挿入して鼻腔の内部を見ることがありますが、これなどは多少の違和感がある程度で、本来痛みや苦痛はありえません。
なのに「耳鼻科に行くと鼻の奥が痛くなる」とか、「鼻血が出て止まらなかった」などという人を見ると、よほど下手な耳鼻科医に診てもらっているのだろうと思わずにはいられません。
耳鼻科に限らずどの科でも、本当に苦痛を伴う治療や検査には麻酔が使われます。
また、注射のような微量の出血は別として、検査や治療のたびに出血を招くようなことも滅多にないはずです。
特に、「出血することもあればしないこともある」というようなケースは、出血したときは失敗、しなかったときは成功、と理解すべきで、これは医師の技量を疑ってかかるべきでしょう。
医療機関は「苦痛を我慢するところ」ではなく、「苦痛を和らげるところ」ということを、患者のほうが意識する必要があります。
患者を診る状態も医療水準の目安「医は仁術」と言ったのは昔のこと。
今は「医は算術」とまではいかなくとも、経営上の取り組みをよほど強化しないことには、病医院の運営は成り立ちません。
医療は他の一般産業と異なり、景気の動向にそれほど大きな影響を受けないサービス業と言われてきました。
それは、他に代えがたい″健康″という商品を扱っていることと、日本の場合は国民皆保険により、健康保険証さえ持っていけばどこでも気軽に安く医療を享受できることも理由として挙げられます。
しかし、そんな中でも日本の医療機関は総じて経営難に喘いでいるのが実情です。
一九九○年代以降、健康保険被保険者本人の自己負担率が「一割」から「二割」を経て「三割」に引き上げられ、それまで自己負担がなかった老人医療費の自己負担発生、そして相次ぐ診療報酬の引き下げと、医療経営を巡る環境は厳しさを増すばかりです。
診療報酬のマイナス改定が顕著になった二○○二〜二○○四年のデータを見ると、医療機関が倒産に至った主因の一位が「販売不振」(医療サービスの提供も分類上は″販売″となります)、二位が「放漫経営」、三位が「過大投資」となっています(「その他」が「販売不振」と同数)。
これは、九○年代後半は「放漫経営」が倒産原因の半数を占めて不動の首位で、次いで二位の「設備投資の失敗、経営計画の失敗」、三位の「販売不振」という順位と比較すると、医療制度改革などの影響が大きく及んでいることは明らかで倒産主因のトップは、九○年代半ばまでは今と同じ「販売不振」でした。
これが一時的に「放漫経営」に首位の座を明け渡したのは、当時、目先の利かない医療経営者が折からのバブル経済に踊らされて、調子に乗りすぎてしまったことが原因として考えられます。
それが今、再び「販売不振」に戻ってきたのは、それだけ本当の意味で医療経営を巡る経済環境が深刻なものになっていることを物語っています。
昔は病医院と言えば、銀行が頭を下げて融資をしたがる代表的な業種でしたが、今では他の業界同様に融資の圧縮に苦悩しています。
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